
おそらく「見学ツアー」に参加した人たちのほとんどがマッサージ・サロンに駆け込んだかもしれない。
ベルファスト市庁舎の内部では最初から最後までこちらを圧倒する状態が続いた。
美しい装飾が施された天井や柱部分を見上げ続けるため、首は60度の角度で固定されたまま、
欧米人には少ないはずの肩凝りを訴える人が続出していた。
感心が増すばかりの説明を聞き続けるため、顎は無重力状態でひどく負担がかかったまま、
ホトンドの人が涎を拭くのに忙しそうだった。
その例に当てはまらない人たちはシャッターを切り過ぎて親指が肥大化した、と訴え、
そんな楽しい雰囲気で「庁舎内連れ回しの刑」は40分ほどで完結した。

それにしても北アイルランド、ベルファストという一都市にこんなに豪奢な市庁舎があるなんて。
嬉しい発見、ちょっとした掘り出し物、歩いているとこういう発見もあるのだ。
『ピース・ウォール』への道のりは挫かれたが、
『シティ・ホール』の予想外の驚き、思わぬ出会い、いいタイミングで上がってくれた雨に感謝した。

アイルランド戦の約束を思い出し、夕食の買い出しをしながら宿への道を辿った。
宿の近くまで来たところで、地元教会から生演奏の音が漏れ聞こえてきた。(写真9)
その音に導かれるように教会内部に歩みを進めると小さなバンドがリハーサルの演奏をしていた。
「来週、地元のイベントがあるからね、それの練習さ」
片隅にいたスタッフがそう教えてくれる。
重ねて写真を頼むと「かまわないよ」と快く答えをもらった。
礼拝席に腰を下ろし、しばらく生演奏のひと時、旅先にはこんな風におもしろいことが転がっている。







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