
午後の遅い時間になってもやる気の衰えない日差しに抗いながら、さらに東へ。
チェンマイの最新スポットができた、という話を聞いていた。
東の郊外へ向かう道沿いに巨大なショッピング・モールがオープンしたらしい、
暑さから逃げ、そこでエアコンに浸るのもいいかも、と思い、バイクを走らせた。
『Mae Ping(ピン川)』にかかる『Nakon Phin(ナコーン・ピン橋)』を渡り、郊外方面へ。
広い大学の敷地沿いを走ると路地に人が行き来していた。
気になってバイクを止めるとその道は封鎖されていて、その先にはオープン・マーケットが伸びていた。
週末だけフリー・マーケットが催されていることはネットの情報で知っていたが、それに出会うとは。

バイクを止め、歩いてみるとそこはまさに「Frea Market」、(写真2)
路面にガラクタや骨董品が並び、時折、手作りのお菓子や飲み物が売られていた。
そういえば今日は土曜日だ、地元の人も散歩がてらブラブラ、のどかな場所ののどかな時間。
手作りレモネードを買い求め、水分補給しつつ、端から端まで歩きつくしてはみたものの、出物はナシ。
エアコンが恋しくなるばかりでバイクに戻り、エンジンをかけた。
郊外へ続く広い道の途中、巨大なショッピングモール『セントラル・フェスティバル』が現れた。
それまで寺や市場を眺めていたせいか、煌びやかなモールは異質に思え、まさに「現れた」という感じだ。
有名スポーツショップなどをヒヤカして歩いたが収穫はゼロ、
目に留まったマンゴ・シェイク30Bで熱を冷ましただけで、バイクに戻った。

『ピン川』の東岸沿いの道を南下して行く。
「適当なところで右折すれば元に戻るよな」と南下を続けていたら、川を横切る橋が一向に現れない。
少しばかりムムム、なるもまだまだ時間に余裕はあり、
マズければUターンして来た道を戻ればいいやと積極的に迷い、走り続けることにした。
さすがの橋の無さ加減に不安になりかけた頃、大きな交差点から川への橋、右折して川を渡った。
手持ちの市内地図からはとっくにはみ出ていて、その交差点がどこに当たるのかもわからなかったが、
近くにあったホテル名で後から調べると、どうやら『Mangrai(マンラーイ橋』だったらしい。
今度は川の西岸を走る形で北上を続けた。

途中、門前で人を下ろすクルマがちょっとした混雑を巻き起こし、人の往来が多い寺院に出会った。
バイクを止め、中に進むと行き交う参拝客が多く、境内は賑わっていた。
廃寺がある一方で多くの参拝客を集める寺がある、これも信心深く熱心なタイの人たちの生活の一幕だ。
奥に進むと川に面した敷地から魚を放流できる一角に人が集っていた。(写真4)
これはタイでよく見る風習、宗教的な行為で捕らわれた鳥や魚を逃がすことで「徳を積む」というやつだ。
ここでは小さなバケツに入った魚を人々が祈りながら、川に放していた。
カゴに入った小鳥を逃がすシーンはよく見かけるが「魚バージョン」を見たのは初めて。
余所者にはわかりづらい宗教的な慣習、同じ仏教徒でも日本とはかなり色合いが異なるわけですね。
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城郭エリアに戻り着き、預けてあったバゲージをピックアップするため、宿を目指した。
「バゲージ、取りに来たよ~」
そう声をかけると子供にお菓子を食べさせていたミットさんが奥からバゲージを持ってきてくれた。
17時前、12月だというのに日はまだ高く、19時のフライトにはまだ早かったが、
オフィスを閉められてはかなわないので早めのピックアップ、ただしそのことは言わないでおいた。
「また来てよね、待っているよ。バンコクまで気をつけて」
そんな言葉をもらい、彼とその奥さんと握手をして別れた。
キャスターバッグをスクーターのフロアに置き、ナイト・マーケット近くにあるバイク屋を目指す。
途中、連日通ったジュース屋でスイカ・ジュースを購入、「毎日スイカジュース」でシアワセ過ぎる。

「戻しに来たよ~」
店先にバイクを並べ、なかに進むと店のオバチャンが「ここにお座り」とイスを差し出してくれた。
「お茶、飲むかい?」
子供にご飯を食べさせる支度をしていた別のおばちゃんがそう問いかけてきた。
買ったばかりのスイカジュースを持ち上げて見せると、頷いてくれた。
このバイク店はどういうわけか女性しか働いていない、まあ、東南アジアではよくあることか。
手際よくデポジット(保証金)代わりのパスポートを戻してくれ、領収書代わりの書面も出してくれた。
旅先ではこういう手際のいい人たちに大いに頼ったほうがいい。(写真6)
「空港まで、ラクに行く手立てあります?」
時間があったので通りでソンテウ(乗合トラック)でも拾うつもりでいたが、なんの気なしに尋ねてみた。

「安いのはソンテウだけど。メンドウじゃないのはトゥクトゥクね」
そう言いながら店先に腰かけ、テイクアウトのご飯をかきこんでいた男性にタイ語で呼びかけた。
「アンタ空港まで行ける?」おそらくそんなことを言ったのだろう。
「150バーツで行く、って言ってるわよ」
観光客はあまり知らないがトゥクトゥクは意外と安くない、なので空港への選択肢には入れていなかった。
なにせ到着時のタクシーが150バーツ、距離があるとはいえ、やはり割高な感じがした。
「う~ん、100バーツならお願いするけど??」
ダメモトで大幅値切りをしたうえで英語のわかるおばちゃんに伝えると、すぐに答えが返ってきた。

「あの人、それで行くみたい」
100バーツでアッサリ商談成立、荷物抱えてソンテウ乗り場を探すことを考えれば、悪くないか。
男性は小さなレンゲを置き、プラスティックの器にフタをし、イスの上に置くと「乗れ」と促した。
「え? 時間あるから、ソレ、食べ終わってからでもいいぜ?」
こちらの問いかけを待つまでもなく、男性はトゥクトゥクのエンジンをかけた。
空港への道は意外と混んでいて、トゥクトゥク・ドライバーの彼はイラつきながら運転していた。
時間帯からすると夕方の通勤ラッシュだろうか、それでも15分で『チェンマイ空港』に到着した。

「ばんこくえあ、アッチダヨ」
航空会社名を言うとと一番近いドアの真ん前で止めてくれ、カウンターを指差し、教えてくれた。
バンコク・エアのチェックイン・カウンターは空いていて、ボーディング・パスはすぐにやってきた。
出発までは1時間半ほど、ラウンジにシャワーはないだろうが汗を拭き、シャツを着替え、
ゆっくりコーヒー傾け、メール・チェックするぐらいの余裕がありそうだ。
夕食はバンコクに着いたら、食べるとするか。
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