
12月6日 -Day5-
ホテルのテラスでのんびり朝ごはんを食べていた。
といってもいつもの例に漏れず、一泊1,700円の安宿。
それでも「B&B」を謳っているので朝食付き、しかも7種の中からチョイスすることができるなんて。
タイでの滞在、朝ご飯にかかわらず、一食は2~3百円もあればこと足りるのだが、
食べて部屋に戻ってくるのも、あるいは買って帰ってくるのもけっこうメンドウ、しかも汗だくになるしね。
今朝はトーストなどの洋食とタイ料理が並ぶメニューの中から、「ガパオ」をチョイス、
ただしコーヒーはインスタントしかない、というので、紅茶にしてもらった。

チェンマイから到着し、ここにチェックインしたのは22時頃だっただろうか。
「バンコウ・エアウェイズ」の搭乗便は予定より10分遅れて出発、
それでも到着時は5分遅れだったので、パイロットがフライト中に少しガンバッてくれたようだ。
リュックタイプのキャスター・バッグを背中に、デイパックを前に背負い、
到着ロビーからガシガシと地下の空港鉄道=エアポート・レール・リンクの駅に降りた。
通勤客も入り混じり、混んだ車内はだったが、30分弱の乗車なので座れないことは気にならなかった。
車内で前に座っていたフランス人家族がやたらと不安そうに、繰り返し路線図を眺めていたので声をかけた。
「どこまで行くの?」
「フラポーンというのかな? 乗り換えをどこですればいいのかと」
「ああ、MRTの『Hua Lamphong(フアランポーン)』ですね。次で降りればOKですよ。
わたしもMRTに乗り換えるので、一緒に行きましょう」
「あ、ありがとう」
でっぷりとしたお父さんは不安が少し和らいだのか、笑顔で席に戻ると奥さんに事情を説明した。
小学生低学年ぐらいの女のコは車内に飽きていて、退屈そうにママをつついている。

「ここで乗り換えですよ」
『Makkasan(マッカサン)』駅で下車すると彼らを伴い、改札からMRTへの連絡通路に進んだ。
「案内する」と言っておきながら目の前には見たことがない連絡通路が伸びていた。
この駅、以前はガチャボコの歩道を歩かされたのに、しばらく来ない間にキレイな通路ができていた。
ひとまずそのことはおくびにも出さず、フランス人家族を引き連れ、MRTに向かった。
「今日着いたんですか?」
「いや、チェンマイから着いたのでニギヤカなバンコクに戸惑って。タイの言葉もわからないし」
「え? チェンマイからですか? わたしもチェンマイから着いたところですよ」
奥さんの口から出た偶然に少し驚いた、あるいはチェンマイのどこかで擦れ違っていたかもしれない。
タイではLCCが活況を得ているので、別のフライトでやって来たとしても不思議ではなかった。
キャスター・バッグを引っ張り、他愛のないハナシをしながら、MRTのホームまで導いた。
「そちらは『フアランポーン』なので南、わたしは『スティサン』なので反対方向、ここで別々です」
「あら、残念だわ。でも行き先が違うなら仕方ないわね」
「Merci、あ、こっぷんかー、でしたっけ?、いや、ありがとう。助かったよ」
「De rien. Bon voyage! (いえいえ、いい旅を!)」
フランス語でそう返すと終始、退屈そうにしていた女のコがママの後ろからこちらに手を振ってくれた。

バンコクはこのサイズの大都市にも関わらず、供給過剰により、アコモデーションの安さは世界屈指。
2000円も出せばバスルームやエアコンが付いたダブルルームがゴロゴロとダブついているので、
日本人のサイフ事情からするとドミトリーに泊まる必要性を感じさせない。
もちろん500円もせずに泊まれてしまうドミトリーは、長期滞在者のサイフの助けになるが、
ホテルには差額以上の快適さがあることは火を見るより明らかだ。
安くて快適なホテル探しはちょっとした潮干狩り気分、あるいは釣りかくじ引きのような感覚だ。
かつては気に入ったホテルをリピートしていたが、毎回通うそのエリアにも飽きて、
最近は毎回、知らない街、知らない駅、知らない宿を掘り探ることにしている。
市内はBTS沿いの方が動きやすいのだが、行きたい場所も見当たらなかったので、
今回はショッピングモールが多いMRT沿いの『Sutthisan(スティサン)』駅に狙いを定めてみた。
「エアコン」「Wi-Fi」完備で2000円前後、こんな条件でネット検索、
出発前のチェンマイで、『SidaRe Bed and Breakfast』を掘り当てたというワケ。

21時過ぎ、初めて降りた『スティサン』の駅前はすっかり暗く、しっかり戸惑うことになった。
駅前通りの店々はすでにシャッターを下ろしていて、コンビニだけが光を放っている。
ところどころ車輪付きの屋台が明かりを灯し、客を集めていた。
チェンマイからネット予約を入れたため、地図をプリントアウトすることもできず、
ざっくり書き取った地図と脳内地図だけを頼りに歩く、ノー・グーグル、ノーライフ。
闇に覆われた路地を進むとほどなく民家のような建物に掲げられた宿のカンバンを見つけ出した。
フロントにいたおばちゃんにこちらの名前と予約サイトの名を告げ、パスポートを差し出す。
カンタンに設備の説明をしてくれると「ついておいで」と身振りで示した、どうやら英語がニガテらしい。
こちらが予約した最安値の部屋は別棟にあるらしく、民家が並ぶ中を3軒ほど先まで歩かされた。
大きな空き家にも見える敷地に入り、中に進むと1階の居室からは家族の笑い声が聞こえてくる。
2階に上がり、個室の扉を開けるとそこには小奇麗な部屋が整っていた。(写真6)
「これ、エアコンのリモコン、これTVリモコン、シャワーとトイレは共同でここ」
おばちゃんは慣れた感じで、カタコト英語で説明していく。
エアコンはバカデカく旧式ではあったが、きっちり仕事をしてくれていた。
2階には外に出られるテラスもあり、使った形跡のあるビーチベッドが置かれている、
宿泊客が日光浴でもするのか、あるいは横たわって夕涼みでもするのだろうか。
いつものように荷物だけ置いて、すぐに出かけることにした。
LCCながら機内食が供されはしたが、きっちりはっきりとした夕飯を食べたかった。
駅方面に戻ればコンビニや屋台があったので、なにかにありつけるだろうと思い、部屋を後にした。

バイクの音とともに「ガパオ」が到着したようだ。(写真1)
サニーサイドアップやスクランブルエッグなどここで作れる洋食メニュー以外は買い出しに走るらしい、
家族経営らしく、他の宿泊客がタイ料理をオーダーするたび、掛け声とバイクの音が響いた。
キレイなお皿に盛られ、新鮮な野菜と目玉焼きが添えられた「ガパオ・ライス」のご登場、こういう朝も悪くない。
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